抗凝固剤の影響


生化学検査において抗凝固剤が添加された採血管での検体や、誤って混入した検体の場合、様々な項目で検査値に影響を与えるので

注意深く結果を確認しなければなりません。

 

・抗凝固剤の種類

 代表的なものとして4種類(EDTA、ヘパリン、クエン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム)あり、それぞれの検査にあった抗凝固剤を使用します。

 

●EDTA

検体中のカルシウムイオンをキレート除去することで強力な抗凝固作用を発揮します。血球計数(Complete Blood Count: CBC)や血液塗抹標本等の血液学的検査に最も適した抗凝固剤であり、EDTA-2K(EDTA二カリウム塩)が繁用されます。

 

生化学検査における影響

低値となる項目:ALP、Mg、LAP、Fe、Ca、AMY

高値となる項目:Na、K

 

●ヘパリン

ヘパリンには長期保存により抗凝固作用が低下したり、時間経過とともに検体が凝固することがある等の欠点がありますが、他の多くの抗凝固剤がカルシウムイ オンと結合して抗凝固作用を発揮するのに対して、ヘパリンは活性型凝固因子を直接阻害するものであり、電解質、血液pH、染色体分析、リンパ球培養等の検 査に適しています。

 

生化学検査における影響

低値となる項目:なし

高値となる項目:TP、LD

 

●クエン酸ナトリウム

EDTAと同様にカルシウムをキレート除去しますが、その作用は総じてEDTAよりもマイルドです。臨床検査領域では主に凝固系検査に用いられます。

 

生化学検査における影響

低値となる項目:AMY

高値となる項目:Na

 

●フッ化ナトリウム

血液中のブドウ糖は採血後も血球から逸脱した解糖系酵素により代謝されるため、1時間約7%の速度で減少していきます。NaFは脱カルシウム作用を有する 抗凝固剤ですが、解糖系酵素(エノラーゼ)に対する阻害作用も有しているため、血糖検査用の抗凝固剤として単独あるいはしばしばEDTA等と混合して用い られます。ただしNaFによる解糖阻止効果発現には約3時間を要するため、より速効性の解糖阻害法の普及が望まれます。

 

生化学検査における影響

低値となる項目:ALP、Ca、IP、Mg、LAP、ChE、Fe

高値となる項目:Na

 

 

引用 臨床検査振興協議会HP